動物病院でのペット医療トラブル

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獣医療過誤相談室へ届いた相談の中で、解決した事例からご紹介させて頂きます。
現在抗争中、まだトラブルが解決していない事例については、解決後の掲載となります。

獣医療過誤相談 事例4

(相談者 兵庫県 女性H様)

12歳のゴールデンレトリバー。
しばらく前から痩せて来た。
心配した飼い主が動物病院へ相談に行くが、獣医師は「問題無し、老犬は身になりにくい」。
嘔吐などの異常が始まり、別の動物病院へ。診察に当たった担当獣医師には特に異常と診断されなかったが、院長獣医師がレントゲンを見て、異常を発見、腫瘍らしきものがあることに気がつきました。
緊急手術に踏み切りましたが、手術後数日のうちに死亡。
獣医師に対応に納得が行かない飼い主さんが相談に来られました。



先日、我が家の愛犬亡くしました。
かかっていた動物病院から直接の死因の説明をしていただけていない事に加えて、 治療等にも若干の疑問と、納得のいかない分が残っています。
お忙しいところ大変恐縮でございますが、ご意見をお聞かせいただければ、幸いでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。

雌のゴールデンレトリバー 12歳になったばかり
もともと体は小さめで体重は成犬期で30キロ弱
今年のフィラリア開始の4月で26キロ
食欲はあるもののあまり身に付かず少しづつ痩せていた。

普段の罹りつけの獣医さん(以下B医院)で相談するも、老犬は身に付き難いと回答
それ以外は素人目には特に気になることがなくそのままに。

10月8日(金)
ゴハン:朝食べた 夕方食べず 一度嘔吐があり

10月9日(土)
ゴハン:朝・夕食べず 夕刻にかけて数回の嘔吐。
体調が気になり夕方A動物病院へ。(以下A医院))

【A医院へ連れて行った経緯】  

B医院は土曜午後休診のため今年2月の土曜午後に胃捻転になり、その際にB医院の医師と連絡が取れず、急遽対応してもらえる獣医さんを探し連れて行ったのがA医院でした。
今回、症状が嘔吐ということもあり、胃との関連も考え、胃捻転の手術をしてもらったA医院に連れて行くことにしました。

〜来院までの経緯を説明、以下の対応〜

7月に検診としてB医院で行った血液検査の結果(肝機能GTP?がやや高値)を持参
診察台にて血液検査の為の採血
医師(以下C医師)による触診。(腹部中心に)
体重20.6kg
検温(39.8度)
超音波で腹部を診察。
特に気なる箇所はナシと診断。
血液検査の数値を見ても特に異常な数値の項目は見当たらず。
(肝機能GTP?が”99”とやや高値だった)

《処置》 皮下点滴 胃酸を抑える注射 解熱のための座薬

点滴をしたこの時点では皮下点滴であることの説明は特になく、自宅に戻ってから、腹部がタプタプしているのが気になり、ネットで調べて皮下点滴のためにそうなっていることを知る。
また、点滴をするにあたっては嘔吐による脱水症状を防ぐために というような大体の説明のみ有り。
明日再度点滴の為に来院の指示あり。
お水を飲んでしばらくすると嘔吐の繰り返し。

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10月10日(日)
ゴハン:朝・夕食べず (点滴のために来院)
病院に到着後すぐに排尿と9日以来の排便 (やや下痢気味)
待ち時間がしばらくあり、診察直前に排便 (同じくやや下痢気味)
体重19.8kg
レントゲン撮影
検温(39.8度)
(昨晩から来院までの嘔吐の回数をメモしたものを渡し、診察待ちの際の排便についても報告)
↑時系列でメモしていたが見てもらえていたかは不明 昨日の超音波検査で特に気なる箇所がなかったのレントゲンで見てみると レントゲンを見ても特に気になる箇所はないとのこと。

《処置》 皮下点滴 胃酸を抑える注射 腸の調子を整える注射 解熱の為に座薬
点滴の為に再度明日来院指示あり お水も極少量でとの指示あり

(帰宅後) 排尿1回 夕方の散歩で数回に分けて血便を出す。
       その後、翌朝まで何度も血便を出す。
       血便と嘔吐が大体同時期に起こる。

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10月11日(月)
入院決定
朝、病院に行く前に血便を出し、 病院へ行く車中で一度嘔吐。
(昨晩から来院までの血便と嘔吐の履歴をメモしたものを渡す)
↑血便も持っていったが特に受け取って検査などをする様子もなく持っていったことが無駄に
検温(38・8度)
この時点で体重18キロ。
昨日のレントゲンを院長に見てもらったら、一箇所気になる箇所があるとのことで、再び超音波による検査を行う。
(確かに白い塊のようなものを見ることが出来た・場所は脾臓)

《処置》 皮下点滴 腸の調子を整える注射 胃酸を抑える注射
院長が戻ったらしく登場(本来は休診のため担当医師のみが在院)
超音波検査を院長が行う 院長による所見、胃の辺りにこぶし大ぐらいの腫瘍があるとのこと。
今の症状がこの腫瘍からきているかどうかは不明。
腫瘍を取ったからといって良くなる保障はない。
高齢で、かなり痩せてきているのも気になる 痩せ方が病的なもののように思われる。

緊急手術(約1h後手術終了の連絡あり)

術後麻酔が切れるか切れないかの時点で様子を見に行く。
腫瘍が脾臓にあり、脾臓ごと摘出 医院長曰く、お腹開けてみて最悪の状況ではなかったが、 腸を見たら、腸色が変わっていた。
人間で言う赤痢やコレラのようなものではないだろうとのこと。
嘔吐と下痢を止める治療をしていきます。
点滴ではなくものを食べて栄養を取れるようになればしめたものですが、しばらくは様子を見ないとなんとも言えません。

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10月12日(火)
入院中 (お昼前に様子を見に行く)
嘔吐は治まったみたいだが、朝見たときには下血はしていた様子 わりと元気そうにほえたり、尻尾を振っていた。
(夕方に再度様子を見に行く) お昼の様子とさほど変わりがないようにみえた。
(腫瘍の悪性・良性かを聞いていなかったので尋ねた) 今はホルマリンに浸けて保管してあるが、病理検査に出さないとわからない。
時間的には一週間から10日かかるし、検査に出しても治療方法がはっきりするとは限らない。
検査結果出た時点では手遅れということになる可能性もある。

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10月13日(水) 入院中 午前8時半ごろに自宅に連絡が入り、今朝様子を見たら亡くなっていたとの事。
残念ながら助けられずと院長が。
直接の死因の説明は一切なし。
最後の精算のときにもらった計算書には診断名 【腹腔内腫瘍、急性出血性腸炎】と記載。

《疑問点》

触診で腸の異常は分からなかったのか。
処置の際の点滴or複数の注射の副作用で腸の機能の悪化は考えられないのか。
座薬による、腸の機能の低下、悪化は考えられないのか。
聴診器を一切使わずに診察して、分かるのか。




獣医療過誤相談室へのメールを受信致しました。
担当の獣医師に転送致しましたので、回答をしばらくお待ち下さい。

> 直接の死因の説明をしていただけていない

とありますが、それは死因が獣医にも分からないから説明出来無いということなのでしょうか?
それとも飼い主に向き合う気が無いというような感じなのでしょうか?

資料やカルテなどを請求してみましたか?

今後、法的に対応するつもりであれば、カルテについては弁護士を依頼して、 「証拠保全」手続きを取った方が安全です。

カルテは法的に患者に渡すことは義務付けられてはいません。
飼い主が正当な法律の手順を踏まずに請求したカルテは拒否することが出来ます。
のちのち警戒され改ざんされる可能性があります。

ただし、「診断書」、という形であれば、これは患者側からの要求があれば、応じる義務が法律で定められていたはずです。

獣医師法第19条第2項です。

診療書、検案書などの交付義務を定義しています。

正当な理由なくこれを拒否してはならないとあります。

「診断書」という形で交付することを要請してみて下さい。

また可能であれば、お辛いでしょうが、わんちゃんの遺体を検死解剖に出すことも一つです。
受け付けてくれる獣医師がいれば良いのですが、同じ地域の獣医師ですと、どうしても仲間同士の庇いあいでミスを見つけても指摘しない傾向があります。
出来れば、獣医師会などの圧力などを避けるために、大学病院などに依頼するのが安全です。



まず、ゴールデンの12歳は十分寿命の年齢です。
人間で例えると76歳ぐらいの年齢になります。 そして、徐々に長い経過で痩せていっているので、 相当に消化管の機能が弱っていたと思われます。
原因に関してはなんとも言えません。

もしかしたら、脾臓の腫瘍のせいかも知れませんし、関係なかったかもしれません。

ただ、脾臓の腫瘍は、全体の三分の二が悪性と言われており、その悪性の三分の二は 転移していると言われております。 

そのあたりのことを考えますと、腫瘍随伴症候群などの併発で痩せてきていたのかも知れません。
また、血液検査の項目に異常が無くとも消化管の障害があったので嘔吐を起こしていたのではないかとも考えられます。

脾臓の腫留がリンパ腫などであれば消化管全体に転移して消化器症状を呈していた可能性もありえます。

とにかく、診断は現場の獣医師しかできないことなので何とも言えませんが、色々な疾病の可能性はあったと思います。

そして、年齢的なことまた経過、そして脾臓の腫瘍のこと等を考慮したならばやはり相当状態が悪くなっていたことは否定できません。

獣医師の処置に疑問をお持ちのようですが、前提としてどうにか元気になって欲しいから色々と治療を行うのです。 

そして 薬剤の副作用を問題視されておりますが、薬剤名や処方量などの情報がなければ判断のしようがありません。 
ただ 通常の使用で一般の獣医師が極端に副作用の出る薬を選択したとは考えづらいものがあります。

触診で腸の異常はわかりません。
異物の閉塞や極端な状態便秘などならばわかることもありますが。
また、ゴールデンぐらいの大きさでは腸自体の触診も難しいです。
聴診器は基本的に音を聞くものです。
音による情報を得ることができない疾病では何の意味ももたないこともあります。 

ただし 聴診は診察の基本ではあります。



いつの時点か分かりませんが、食事をしても身にならなかった、ということは、 その頃から腫瘍があったのでは無いでしょうか?

腫瘍があると、腫瘍に栄養分を取られてしまうので、食べても食べても痩せてゆきます。

その時点で、もし気が付いていたらあるいは・・、とは思いますが、その時点で精密検査を薦めなかった獣医の手落ちか? と決め付けられるものでも無いのかもしれません。

飼い主の方から要請をして、拒否されたのであれば、少し違って来るかもしれません。

死因については、当HPの担当獣医師では、直接見ていないので分からないと思います。

ただ、私が思うには、12歳と言えば、元気に見えても、体の内部、内臓はやはり衰えてきます。
そして、腫瘍が発症しやすい年頃です。
腫瘍がもし半年以上前から出来ていたとすれば、少しずつ弱ってしまい、摘出しても、回復は間に合わなかったのかもしれない、と言う気もします。

当然、手術は体に負担がかかります。
高齢であればなおさらです。

かと言って、高齢で麻酔、手術が負担だからと言って、この場合は、やはり腫瘍が発見されれば手術ということになるのは医療側の対応として止むを得ない処置だったのでは無いかと思います。

ただ、経過や処置については、獣医師は飼い主の質問には答える義務があると思います。
納得が行くまで、説明を求め、後悔が残らないように話し合って頂きたいと思います。
もし、よろしければ、担当獣医師が言っているように、薬剤名と投与量の情報をご送付下さい。



早速の対応ありがとうございます。
また、ご回答くださった獣医の先生にもお礼を申し上げます。
参考になるアドバイスを頂きとても心強く思っています。
愛犬を亡くして以来一度も最後を迎えた病院には行っていません。
最後に行ったのは愛犬を引き取りに行ったときで、 精神的に不安定であった為に治療などの詳細を聞くことを 疎かにしていました。
早速明日にでもアドバイス頂いた「診断書」を依頼しようと思います。
どの程度の診断書が得られるかはわかりませんが、とにかく依頼をしてみようと思います。
診断書を受け取りに行った時に注射の薬剤名などを聞いてみようと思います。
これも答えてもらえるかどうかは不明ですが、聞いてみよう思います。

診断書を入手しましたら改めてご報告させていただきます。
またアドバイスをいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。



前向きに対応されようとするお気持ちを聞いて安心しました。

> 最後に行ったのは愛犬を引き取りに行ったときで、
> 精神的に不安定であった為に治療などの詳細を聞くことを
> 疎かにしていました。

愛犬を亡くされたばかりの虚ろな気持ちの時に、冷静沈着に行動し、説明を求めることは難しいことだと思います。

ですが、H様が、わんちゃんのためのみならず、今後のご自身のために、 今からでも出来る限りのことをなさっておくことは決して無駄にはならないと思います。

きちんと気持ちにけじめを付ける為にも必要だと思います。
後になって、もっときちんと話をしておけば良かった、そう後悔することが無いように。
物事にはその時で無いと出来ないことがあります。

患蓄の死や診断、治療について、飼い主に質問をされたり、「診断書」を請求されることは、 ある意味、今回の獣医に「患蓄の命、飼い主の気持ち」そして、 獣医師とは命ある生き物を扱い、飼い主に家族をして愛される命を扱う職業であることを認識させる機会であると思います。
人の死よりも軽く扱われる動物の命。
ある意味、「死んだところで・・・」の獣医師は少なくないと思います。
そういう獣医師の認識を改めさせ、緊張を与えるには、個人個人が勇気を持って、 その機会に対応すること、それを皆が継続することだと思っています。

H様の勇気が、どこかの飼い主を、どこかの小さな家族を救うことに繋がるかもしれません。
また、今後またわんちゃんと暮らすことになった時の大切な知恵と勇気と糧になるはずです。
そうなることをきっと亡くなったわんちゃんも望んでいるのでは無いでしょうか?

どうか頑張って下さい。

もし宜しければ資料等が手に入りましたら、またご送付下さい。
担当獣医師の新たな見解が聞けるかもしれません。



野上様や、担当の先生からのメールを頂いた後のご報告をさせていただきます。

まず、診断書を依頼し合わせて一連の経緯のなかで自分たちが疑問に思ったり、 納得のいかないことを「質問書」という形で提出することにしました。

「診断書」
診断名:腹腔内腫瘍及び急性出血性腸炎

ということが書かれた簡単なものでした。

診断書を受け取りに行った際に「質問書」を提出し回答の依頼をしました。
受付で受け取った担当医師と、看護婦から回答を郵送すると提案があり、 それで、お願いをし帰りました。
帰宅後、病院長から電話があり質問書に基づいて直接説明するので再度来院の依頼があり、 行って、一通りの説明を受けてきました。
その詳細を送らせていただきます。

1つ目のファイルは相談室への投稿と重なる部分が大半ですが、 一連の流れをエクセルにまとめたものです。 質問の内容を分かりやすくするという意味で添付させていただきます。

2つ目のファイルが、質問書及び回答です。 院長は質問書に基づいて直接話をしてくれましたが、 別途それぞれの質問について、文字での回答も作成してくれて、用意してくれました。

質問書の赤字は院長の回答です。
文字にし難い部分を口頭で説明を付け加えてくれました。

一通り質問をぶつけて、回答をもらったことで以前よりは気持ちの整理が出来るかもしれない気にはなりつつあります。
ですが、正直直接話を聞いても、結局獣医にねじ伏せられたような気持ちも少なからずあります。

院長の最終的な見解として私たちが聞かされたのは、 脾臓に腫瘍が見つかったことで、少なからず病状の原因であろう腫瘍を取り除き快復する可能性に賭けたようです。
胃捻転の手術の時の快復状況からもうちの子の快復力に賭けたようです。
ですが、パルボウイルスでもなく、コロナウイルスでもない下血を起こさせている不明のウイルスによる感染症が 一番原因をして大きいだろうということでした。
死亡前日の夜様子を見て、まさかその後死亡するとは思いもよらなかったとのことでした。
容態は急変してしまったみたいです。

自宅でのお別れをさせてあげられなかったことは申し訳なかったということは言ってくれました。

後は自分たちで気持ちの整理をつけるしかないのかなぁと思っています。

こちらのHPに出会ったことで、疑問を解決しようという気持ちになったのはとても大きな前進だと思います。
私たちの経験が何かのお役に立てばと思い少し長くなりましたが、 ご報告のメールを送らせて頂きました。

このたびはありがとうございました。
今後、私たちでお力になれることがあれば何なりとおっしゃってください。

それでは失礼いたします。


質問書
(黒字:飼い主さん側の質問 赤字:獣医師側の回答

【10月9日(土)】

Q:最初の診察の際にM医師は聴診器を使われなかったのは特に必要がないと判断されたからでしょうか?

A:初診時、発咳なとの症状はお伺いしていませんでした。 視診をいたしましたが、(呼吸の状態や可視粘膜の色調)、心肺機能に異常はないと判断し聴診はおこなわず、
主訴(吐き気からくる、食欲不振)=消化器系症状の診察にすすみました。

Q:9日時点では腸に異常はなかったのでしょうか?

A:嘔吐が主な症状であったので、この時点で腸に異常があるかないか判断することは困難だったと思います。
通常腸に炎症が起こってくると、下痢が敏速にみられますので、少なくとも8日から9日の時点では腸の病変は大きなものではなかったと考えられます。

Q:9日にしていただいた注射、点滴、座薬の薬剤名を教えてください

A:胃酸を押さえる注射:ガスター
(点滴):ラクトリンゲル500ml、バイトリル、レバチオニン
解熱の為? (座薬):インドメタシン

Q:皮下点滴より静脈点滴の方が効果は早いのでしょうか?(皮下点滴は半日かけて体内に取り込まれると聞きました。)

A:点滴の目的は水分補給です。静脈点滴のほうが早く水分補給できますが、点滴中動物の動きが長時間制限され、点滴速度によっては体に負担がかかることもあります。 脱水状態がひどくなれば、皮下点滴で良いと考えています。

Q:胃の辺り(最終脾臓)の腫瘍はレントゲンを見た院長でないと発見できないほど分かり難いものだったのでしょうか?

A:腫瘍が前腹部に位置しており、他の臓器と重なり、明確な陰影として確認することが出来ませんでした。
9日に行った腹部の超音波検査では、腫瘍の存在を確認できませんでした。

【10月10日(日)】

Q:前日帰宅後の嘔吐などを細かくメモしたものをお渡ししましたが、その内容を見て、胃に対して新たな検査などは必要ないと判断されたのでしょうか?

A:頻回の嘔吐が続くということで腹部レントゲン検査を行いましたが、腸管内異物や腸閉塞を疑う所見は認められませんでした。 胃の新たな検査をしては、バリウムを飲ませたレントゲン造影検査、胃カメラ検査などがありますが、臨床症状や体への負担を考え、この時点では追加検査より、 治療を優先させました。

Q:診察前にした排便が下痢気味だったことをM医師に伝えたのですが、見せてほしいとの要請はありませんでした。検査の必要性はなかったのでしょうか?

A:嘔吐と共に下痢の症状が出てきたということで、胃だけの問題ではなく腸炎を併発が起こり、一連の消化器疾患と判断しましたが、病気の経過から考え 便検査(寄生虫、消化酵素、パルボウイルス性腸炎抗原検査など)は必要ないと考えました。 通常、便検査は慢性的な消化器疾患(消化不良、吸収不良、間欠的な軟下痢症状)において必要な検査になってきます。

Q:この日の処置に使った薬剤名を教えて下さい。

A:胃酸を押さえる注射:ガスター
腸の調子を整える注射:プリペラン
(点滴):ラクトリンゲル、バイトリル、レバチオニン
解熱?(座薬):

【10月11日(月)】

Q:前日夜から血便が出始めたことを伝え、血便を持参もしていましたが、検査どころか見せてほしいとの要請もありませんでした。検査の必要はなかったのでしょうか?

A:血便の症状を伺いまして、消化器症状が悪化してきていると考えました。
病気の経過から、便の検査では腸炎をおこす原因を特定するのは難しいと判断し、血液検査の方を優先させ実施しました。

Q:院長診察前の処置に使用した薬剤について教えて下さい。
A:注射:(確か2本だったと記憶しています。)
カスター、クロラムフェニコール
点滴:(皮下)ラクトリンゲル、バイトリル、レバチオニン

Q:脾臓の腫瘍は手術前にはどうやっても悪性か良性かの判断はできませんでしたか?

A:開腹手術で初めて脾臓の腫瘍であることが確認できました
外側からの画像検査だけでは、どの臓器の腫瘍なのか、どのような状態なのか判断するのは困難です。 人間の医学で腹腔鏡検査など行われていますが、動物ではそのまでの高度な医療は行われていません。 細胞の検査は可能なのですが、犬にとってはある程度負担がかかりますし、誤診する可能性が非常に高いの欠点です。 今回は症状の進行速度が比較的速く、しかもお腹の中に腫瘍が確認されたため緊急になりましたが、開腹手術をお勧めしました。

Q:開腹して転移などはなく、最悪の状況ではなかったと理解しておりますが、間違えないでしょうか?

A:腫瘍に関しては、ほかの臓器を巻き込んだ転移所見や、腫瘍そのものが胃腸に関与している所見など認めず、 この時点で命取りになるような状態ではなかったと思われます。 ただ、腸全体に出血斑が出ており、血便を起こす臨床症状に一致した所見がありました。 脾臓の腫瘍には血管肉腫という代表的な悪性腫瘍があり、目に見えないところで異常があった可能性も考えられます。

Q:開腹して腸の色が変わっていると報告いただきましたが、手術前にはその兆候ぐらいは分からなかったのでしょうか?

A:10日午後か血便を頻回に出していましたので、腸に起こっている炎症の程度が重くなっているものと判断しました。 手術前から、腸の表面に出血斑(炎症が起これば出てくる所見です)が出ていることは予想していました。 「腸の色が変わっている」というのは1つの所見としてお話しました。

Q:以前施術して頂いた胃捻転の手術の時と今回の手術では麻酔が切れる時間が遅かったようか気がしたのですが、重篤度合はかなり違っていたのでしょうか?

A:胃捻転の時とは病気の本質が全く異なっています。
したがって麻酔の代謝速度も今回は遅いものだと考えます。

【10月12日(火)】

Q:手術後の処置について教えてください。

A:11日→ ラクトリンゲル1500ml、セファゾリンナトリウム1000mg、ビタミン剤
12日→ラクトリンゲル1000ml、セファゾリンナトリウム1000mg、ビタミン剤、ガスター

【10月13日(水)】

Q:前日最後に様子を見ていただいたのは何時ごろだったのでしょうか?

A:午前2時

Q:その時の様子を教えて下さい。

A:痛みや苦しい様子もなく、落ち着いた状態で呼吸も静かでした。
伏せている状態で、頭も伏せていましたが、こちらの口笛などに反応して顔をこちらに向けて様子を伺うしぐさもしていました。



お疲れ様でした。
また詳細な経過のお知らせと質問、回答の一覧、ありがとうございました。

先ほど、拝見しました。
本当にお辛い気持ちの中、大変だったと思います。

良性、悪性かの組織検査はまだ結果待ちなのでしょうか?

今回、腹腔内に腫瘍ということでしたが、恐らく、こぶし大というと少なくとも数ヶ月前から出来初めていたのだと思います。

やはり犬も人と同じで年を取ってくると腫瘍が出来やすくなる傾向にあります。
勿論、体質的に若くても腫瘍が出来てしまう子もいますが、10歳を超えて、 特に血液検査等で目立った異常は無いのに何かおかしいというような時は、 腫瘍を候補として考えることは必要なのではないかと思います。

腫瘍が出来ているのを発見すれば、やはり手術という処置を講じるのは選択肢としてありえます。

また、手術には少なからず負担がかかりますから、そのせいで体調を崩し、 そのまま回復せずに亡くなるケースもあります。

今回、体調不良の原因が腫瘍だったとして、 もし、すぐにその原因が腫瘍だということが発見されすぐに手術していても同じ結果だったとしても、 飼い主の気持ちとしては違うのもがあるのだと思います。

例え、同じ結果が逃れられないものだったということを前提にしても、 飼い主の訴えを親身になってよく聞き、それに基づいてもっと丁寧な診察をしてくれていたら、 飼い主の立場としてはやはり違いがあるのだと思います。

「助からなかった」という結果が同じなら、そこに至る経過はどうでも同じ、、、では無いと思います。

その辺りが獣医師と飼い主の溝になる大きな部分だと思うのです。

どんなに手を尽くしても報われない結果になることはもちろんあります。

飼い主はどんなに最善を尽くしたと思っても、やはり、 「あの時、もしこうしていたら」という気持ちはどこかから生まれて来てしまうものだと思います。

だからこそ、獣医師は結果ばかりでは無く、そこに至る経過の中、 そして飼い主の気持ちも考慮した対応が欲しいものです。

飼い主の訴えによく耳を傾け、より多くの病因を考慮して欲しい。

腕の良い医師、獣医師は、一つの症例からより多くの病因を候補に挙げられるものだそうです。

自分の狭い了見で、浅はかな診察をし決め付ける前に、より柔軟な対応を望みたいと思います。

今回のことでしばらくはお辛いと思いますが、勇気を奮い起こして、 獣医師に質問に行ったことはとても大切なことだったと思います。
精一杯頑張られました。

わんちゃん、きっと喜んでいると思います。 どうかこれからも胸を張って、前向きに生きて下さい。
わんちゃんもそれを望んでいるはずです。

もしこれから先、また新しい子を迎えようと思った時に、今回の勇気と行動は、 大きな知恵と経験になると思います。

頑張って下さい。

今回のことで、その獣医師も、きちんと飼い主の訴えに耳を傾け話しを聞くこと、 そしてコミュニケーションを取ることの重要性に気がついたかもしれません。

もしかしたらそのことで、どこかの子の命、飼い主さんを救うことになったかもしれません。

獣医療の向上には、小さな個人個人が自分が直面すること一つ一つに諦めず勇気を持って、 地道に立ち向かって行くことが何よりも必要だと思います。
ありがとうございました。
頂いたメール、そして経過報告と質問書は獣医療過誤相談室の担当獣医師に転送しておきます。

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