野上です。
初めての病院でしたか。
今までに何か病気をされたこと、今までかかっていた動物病院で何か気になるようなことを言われたことはありませんでしたか?
麻酔によるショック死はその体質により、稀に起こることとは聞いていますが、そう滅多に起きることではありません。
そのようなことが起きると動物病院ではたいてい「非常に稀なケース」「初めてのケースです」と言いますが、調べてみると、その「初めてのケースです」が同じ病院で多数起きていたりする場合もあります。
ある県でも子猫の不妊手術をするのに、導入をした上に麻酔を2本も打って、そのまま死んでしまう猫ちゃんの事故が相次いで起きているマスコミなどで良く取り上げられている有名な病院があります。
そこでも最初、飼い主たちに、「当院では初めてのケースです」と言っていましたが、ある一人の飼い主さんが訴訟を起こしたことから、同じケースの数名の飼い主さん方が、続々と証人なり、結局、裁判の途中で動物病院側がお金を積んで和解に持ち込んだケースがあります。
勿論、途中で和解に持ち込んだのでマスコミにも知らされず、表沙汰にはなっていません。
その動物病院は今でもマスコミに持てはやされ、非常に高額な医療費だが腕の良い動物病院と評価されています。
当相談室にも今回のケースと同じような事例が何件も来ていますが、どこでも皆、「非常に稀なケース」「初めてのケースです」と言っています。
解剖しても死因は分からない場合もありますが、やはり病理解剖は大切だと思います。
先日もある事例の相談が来ましたが、最初は獣医側が100%ミスです、申し訳ありませんでした、と謝罪し、解剖するのは痛くて可哀想だから早く火葬した方が良いとその獣医師に薦められて、「動物病院側もミスを認めていることだし」と思い、飼い主さんが解剖せずに火葬してしまった直ぐ後で、「ミスは一切無かった」と獣医の言葉が引っくり返った事例がありました。
これらの事例については、まだ紛争中や今後訴訟に発展する要因があるため、HPには掲載していません。
今回の事例ですと、カルテを見ても大した情報は記載されていないとは思いますが、一応、カルテのコピーを貰える様に言ってみたらいかがでしょうか?
また、事前の血液検査などはされたのか、されなかったのか、などと言う話もなかったのでしょうか?
どんな手術でも、麻酔をかけて、体にメスを入れる以上、絶対に安全な、大丈夫な手術などはありえません。
それらのリスクを飼い主に説明せず、すぐに「簡単な手術ですから安全です」と言い、そして事故が起きています。
大抵の場合、飼い主さんは、色々な説明を全く受けずに、安全だ、簡単だと言われたのに、と仰います。
今回の場合も、獣医がミスを認めるかは難しいと思いますし、その獣医自身が何が起きたのか把握していない可能性もあります。
しかし出来る限り、頑張ってその獣医師と向き合い話をされることで、その獣医師にも、「今後はもっと麻酔管理をしっかりやろう」という意識が芽生えるかもしれません。
猫ちゃんは帰りませんが、別のペットと飼い主さんが被害を逃れることが出来るかもしれません。
どうか猫ちゃんの死を無駄にせず、頑張って欲しいと思います。
では今しばらく、アドバイザーの獣医師から回答をお待ち下さい。
猫ちゃんのご冥福をお祈りします。
獣医療過誤相談室 野上さやか